PERFECT DAYS
https://gyazo.com/5b82654031cfe867708378496e7705d6
複数人からの面白かったという評判を聞き、ネットではけっこうきれいに賛否両論な雰囲気も気になるし、窓ぎわのトットちゃんで役所広司に感動したのもあって、観た。MOVIX昭島。面白かったー、と同時に、うーん、なんか腑に落ちねぇ〜、というアンビバレンツな感想。2023年から映画を200本ぐらい観たけど、意外と初めての気持ちになっているかもしれない。トイレを掃除する映画。自分は、日曜日は毎週トイレ掃除をする曜日となっており、帰ってからトイレ掃除をすることが確定しながら観たので、鏡を使って見えないところの汚れをチェックする、ウォシュレットを手でブロックして掃除する、などは「なるほど〜そうやるのか〜、参考になる〜」とか思ったけど、全体的に完璧すぎて参考にはならなかった、自分ちのトイレでもあんなにちゃんと掃除したことないのに、平山さん、すごすぎる。 https://gyazo.com/a94ef306eba5d3de01d16c1c166da2a4
パンフレットが良い。"PERFECT DAY"s なんだなー。途中までの作品の紹介やキャストの紹介が、普通のパンフレットと違ってなんか一人称の視点を感じる、プロデューサーの高崎さんが気持ちを入れて書いたのだと推測。役所広司のインタビューで「バイトがバックレたときに平山さんはあんなに怒らないと思ったけど、監督はもっとわかりやすく怒れと言った」みたいなこと言ってたのが面白かった。川上未映子さんと柳井康治さんの対談で川上未映子さんがちょっとだけ突っ込んだところは、自分の腑に落ちないところをちょっと言語化してくれた感じがあって読んでよかった。異性へのリアクションが大げさでイノセントというのは「そうそう!!」て思った。観てるときはちょっと気持ち悪いなと思った。 最初に平山さんが読んでる本が野生の棕櫚。フォークナーはバーニングでも出てきたし、野生の棕櫚は勝手にしやがれでも出てきて、本作を観て気になりがまた強まったので積読の位置が上の方に移動した。パンフレットの翻訳者(?)の方の書籍紹介がとてもおもしろかった。 シンプルな暮らし、ルーティンの中からうっすら感じる(邪推してしまう)スノッブな雰囲気、それが最後の展開で「やっぱり選択的没落貴族的なあれやんけ!」みたいな感じで我が意を得てしまったような感じがある。映すもの映さないものを選ぶのは良いと思うけど、結果論ではあるが汚物を映さないという選択が、なんとなく慎ましくて「ていねいな暮らし」を見せつけられただけ、みたいな反発心を自分は抱くことになったような気がする。ニコが泊まりに来たときに平山さんが寝てるキッチンみたいなところはめちゃくちゃ雑多で散らかっていたので、ああいうところももっと見たかった。ファストリの会長の息子で取締役という肩書の人が、電通と組んでプロデュースする作品で、「世界は本当はたくさんある、繋がっているように見えて繋がっていない世界がある」という決め台詞を言うのは、自分は卑屈なので「いやー、どっちかっていったら権力とか既得権益に近い世界にいるあなたたちがそういうこと言っちゃダメなんじゃない?」って思ってしまう。繋がっていない世界に寄り添ったつもりなのだとしたら、もっと良い言い方がありそう。 ラストシーンはすごかった。Feeling Goodっていう曲、自分はMuseのカバーで初めて触れたというのもあるが、「業」「退廃」という言葉をイメージする曲で、この映画全体の雰囲気にはあまりあってない気がしたけど、なんか映画を通して自分が感じてたうさんくささみたいものが最初から全部織り込み済みで、「これもまた人間の業なんですよ」みたいなラストシーンなのかもしれないと思った。役所広司の顔演技。長回しの顔アップラストということで、同じく業を全部背負い込んだようなPearlのラストシーン、ミア・ゴスを思い出しました。パールエンド。 パール思い出してる人たちが他にもいてよかった
https://youtu.be/9AfHnlVMtr4?feature=shared&t=1290
https://open.spotify.com/episode/4STCFJnsUVSobdwV1RPxpQ?si=2b287b097ab847d6
ラスト近くで、平山さんがヤケになってハイボールを3本とピースを買って川に行くところが良かった。強いタバコの象徴(?としてのピース演出、自分の中ではなぜかヒカルの碁が観てるときにピーーンと思い出された。タバコ吸いたくなった。 https://gyazo.com/02cf647ab753b11fe4200f70489ef9ff
平山さんがいつも飲んでる透明の炭酸アルコールはなんなんでしょうね?レモンサワー?グレープフルーツサワー?タコハイ?気になって眠れない!!あと、田中泯さんが踊るシーンを夢のシーンとかに差し込みたいと思ってクランクアップ後に撮ったけど、どこにも入れられなかったので短編映像にしたというSome Body Comes Into the Lightが気になります。 『PERFECT DAYS』(パーフェクト・デイズ、原題:Perfect Days)は、2023年に日本・ドイツ合作で制作されたドラマ映画。キャッチコピーは「こんなふうに生きていけたなら」。 ヴィム・ヴェンダース監督が役所広司を主役に迎え、東京を舞台に清掃作業員の男が送る日々を描く。第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては『誰も知らない』の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞した。本作は同映画祭でエキュメニカル審査員賞も受賞している。 概要
小津安二郎の事跡をたどる『東京画』(1985)を監督するなど日本とのつながりの深さで知られたヴィム・ヴェンダースは、当初、短いアート作品の製作を考えていたが、日本滞在時に接した折り目正しいサービスや公共の場所の清潔さに感銘を受け、長篇作品として再構想。ヴェンダースが日本の街の特徴と考えた「職人意識」「プロ意識」を体現する存在として主人公を位置づけ、高崎卓馬の協力を得て東京を舞台とするオリジナルな物語を書き下ろした。 主人公の男に与えられた「平山」という名前は、『東京物語』や『秋刀魚の味』で笠智衆が演じた登場人物をはじめ、小津安二郎監督の作品に繰り返し使われる名前である。 評価
主演をつとめた役所広司(2023年)。
この作品はカンヌ国際映画祭で初上映され、欧米ではおおむね好感をもって受けとめられた。イギリスの『ガーディアン』紙は、この映画は感情表現をいささか抑制しすぎて曖昧さが残るものの、役所広司の聡明さ・存在感の強さが都会的な空気をささえていて魅力的な「東京映画」になっていると評した。
カンヌ国際映画祭で審査員に加わった台湾の批評家、王信(ワン・シン)はこの作品について、ヴェンダースの代表作のひとつとみなされている『パリ、テキサス』が、より成熟した高いレベルで日本を舞台に再び作り直されたかのようだと評し、芸術というものの本質を純粋な形で表現しきった作品としてヴェンダース生涯の傑作と呼ばれるだろうと絶賛した。 アメリカの『ハリウッド・リポーター』誌は、とりわけエンディングの長いショットが、平山の人生への満足と後悔を表現する役所の見事な演技によって驚くべき効果をあげていると指摘。
『バラエティ』誌もそのエンディングのショットを中心に論じ、映画の構造はごくシンプルで『ベルリン・天使の詩』のような哲学的な煩悶は登場しないが、そのドキュメンタリー風の撮影手法も相まって、ヴェンダースによる劇映画としてはここ数十年でもっともすぐれた作品になったと称賛した。
またアメリカの代表的な映画メディアのひとつ『IndieWire』は、平山の過去を映画の前半ほとんどで伏せたままにするヴェンダースの演出法は、平山の喜びをただのきれい事だと冷笑することなく、彼の存在をありうべき生の姿として差し出すことに成功している、などと評した。
日本では、批評家の中条省平が「清冽な美しさに満ちた作品」「必見の一作」と称賛し、とりわけ車と自転車による移動ショットにおいて、ロードムービーの名作で知られたヴェンダースが復活して「かつてのみずみずしさを保ちながら、円熟の味わいを加え、日常生活そのものをロードムーヴィ化している」と評した。 一方で英語圏の映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」では、一般公開後の2023年12月の時点で、全体として90%以上の高スコアを獲得したものの、脚本の起伏の乏しさや抑揚を欠いた演技を批判する批評家コメントも掲載されている。
監督 ヴィム・ヴェンダース
製作総指揮 役所広司
配給 日本の旗 ビターズ・エンド
公開 ドイツの旗 2023年12月21日
日本の旗 2023年12月22日
上映時間 124分
製作国 日本の旗 日本
ドイツの旗 ドイツ
言語 日本語